プリムラ・ジュリアン ー高校3年生4・5ー

何の思い入れもない高校の卒業式は車で登校した。といっても、さすがに学校の敷地内には駐車しなかったが・・・。その日もバイトがあり、終了後はそのまま車でバイトに向かった。


「テツヤは今日何時まで?」

「22時までだよ。」

「そっか。じゃあ、先に帰るかな。」

「・・・待ってたら、家まで送ってくけど?」

「家まで?どうやって?」

「車だね。」

「え?じゃあ親が来るの?!送ってもらえるのは助かるけど、さすがにそれはねぇ。」

「違うよ。俺の車だよ。」

「免許とったの?!」

「うん。少し前にとったよ。でも、卒業するまでは乗らない予定だったからさ。」

「そーゆー事なら待ってようかなぁ。」

バイトが終わりそうな時間になると少しドキドキしてきた。それが、初めて人を乗せるからなのか、女の子と一緒だからなのかはわからなかった。

「お待たせー。」

「お疲れー。帰りはよろしく!」

「はいよ。ゆっくりかもしれんけど。」

「事故られるよりはいいよ。」

バイト先を出て数分間は、初めて通る暗い道で人を乗せてると思うと緊張してしまい、話しかけられてもちゃんと反応できなかったけど、少しずつ慣れてきた。

「なんかごめんね。運転に余裕がなくて・・・。」

「大丈夫だよ!安全運転でいいんじゃない?」

「だといいんだけど・・・。」

「免許とってないからうらやましいよ。」

「あー、あっち行ってからとるんだっけ?」

「そのつもり。あ、あの信号を右に曲がると自販機あるから、そこでいいよ。」

「はいよー。」

どうやらもう少しで着くようだ。

「ここかな?」

「うん。ありがと♪じゃあ、またバイトで!」


さっきまで話し相手がいて楽しかった車中が、帰り道はとても静かで寂しくなった・・・。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生4・4ー

久しぶりの登校日。

まだ学生だったんだなと思うくらい、久しぶりの登校は非常に面倒に感じた。

卒業式の練習の為だけにわざわざ行かないといけないなんて・・・。めんどくせー。

そう思いながらも、久しぶりにクラスメートと会うと、それもあと数日で終わりだと思うと少し寂しくも感じた。

学校辞めようかと思ってたのに通ったなぁ。3年間も同じ担任、同じ席ってのキツかったな・・・。

選んだ科の人数上、クラスメートが卒業まで同じなのはわかっていた。が、席替えを一切しない担任は頭おかしいとしか思えなかった。そのせいか、同じクラスにいたのに、ほぼ話したことがない人もいる・・・。

寂しく思ったのも束の間、担任と学校への嫌悪感が増し、早く卒業したくてたまらなくなった。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生4・3ー

連絡先を交換してから、時間が合う時は一緒にバイトに行ったり、帰ったりをするようになった。10分位なら別にいいかなと思っていたが、回数が増えてくるとバイト先の人に付き合ってるのかと勘違いされた。もちろん、それはすぐに否定したし、否定された。


そんな毎日だったけど、久々にミカちゃんからメールがきた。

『受験終わったよ!近々遊ぼうよ!』

『お疲れ~♪いいよ、遊ぼう!』

『でもさー、もしかして彼女できた?』

『え?できてないよ。』

『カナコがさー、女の子と歩いてるのを見かけたって言ってたからさ。』

カナコが?

『それは多分、バイト先の人じゃないかと。一緒に出勤する時があるから。でも、彼氏いる人だし、4月から県外に行っちゃうし。』

『ふーん?』

『もちろん、何にもしてません。』

『そこまで聞いてないのに(笑)』

『一応、ね(笑)シフト確認してから連絡するねー。』

『りょーかい!』

・・・出勤前の短時間とかでも、見られてたんだな。あの子は大丈夫なのか?


『ねぇ、一緒に出勤とかして、彼氏は大丈夫なの?』

『大丈夫だよ。』

『そう?俺は友達に見られて、彼女っ?て聞かれたからさ。否定したけど。』

『んー、もう別れてるような、別れてないような・・・』

『?何それ?』

『県外に行くから、遠距離は無理って話をしてたんだよね。それからあまり連絡とらなくなって・・・みたいな。自然消滅みたいな感じかな?』

『はっきりさせればいいのに。』

『そうだよねー。あはは。』

んー、大丈夫かな・・・?まぁ、付き合ってないし、何かあれば説明すればいいだろ。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生4・2ー

初めて会った日以降、シフトが重なっても話す時間はなかった。数日経ったある日、たまたま休憩時間が一緒になり、ゆっくり話す事ができた。

高校がどこか聞いてみると、女子校だと言われて前の事を思い出した。あの子達と接点があるかはわかんないけど、触れずに別の話をした。

「県外って事は一人暮らしするの?」

「そだね。」

「羨ましいけど、大変そうだなー。」

「少しは家事しないといけないし、お金もかかるだろうしね。」

「だろうね。あ、だからバイトしてるんだ?」

「そ。少しは貯めてた方がいい気がしてね。」

まともに話すのはこれが最初だったけど、なんとなくカナコと雰囲気が似ていて話しやすかった。だからなのか、いきなり呼び捨てだったのも気にならなかった。

「テツヤは今日21時まで?」

「そうだけど。」

「じゃあ、帰りにもう少し話そうよ。」

「いいけど、彼氏とかいいの?」

「少しくらい大丈夫だよ。」

休憩が終わり、仕事に戻った。

よし、あと3時間で終わりだな。・・・でも、何で一緒に帰るんだ?あ、危ないとか?・・・にしても、今日やっとまともに話したばかりなのになぁ。まぁ、帰る以外の予定ないし、いいか。


「お疲れ様でーす。」

バイトが終わりの時間となり外に出た。歩きだったようで、自転車を押しながら一緒に歩く事になった。そういえば、どこに住んでるか聞いてない。どこまで一緒に帰ればいいのだろうか。

「あのさ、どこに住んでるの?」

「え?あー、西川だよ。」

確か、電車で何駅か先にあったような・・・。

「ってことは、駅まで一緒に行けばいいかな?」

「うん。よろしく〜♪」

歩いて駅まで10分くらい。どんな専門に行くのか?県外ってどこなの?と聞いていると、もう駅に着いた。

「あ、着いたね。」

「うん。ありがと。連絡先交換しとこ?」

言われるままに交換して、駅に入っていくのを見送った。


・・・俺って都合のいい存在とか?それとも、あの子のコミュ力が高すぎるとか?わからん・・・。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生4・1ー

就職先が決まっており、冬休み明けは学校に行く必要もなく、バイトの時間を増やして1日中働いたり、自動車学校に行ったりとそれなりに忙しく過ごしていた。

バイト先は人手不足で稼ぐのにはちょうど良かった。これから車を買う事を考えると、今のうちに貯金を増やしておきたい。


いつも通りバイト先に出勤すると見慣れない人がいた。新しく入った人のようだ。店長に聞いてみると、同い年で県外の専門に行く為、3月末には辞めてしまうらしい。

すげえ短期間だな・・・。教える事を考えると人数的にどうなんだ?

そう思っていたが、どうやらレジ打ちのバイトをした事があるようだ。最初は機器の操作に若干戸惑っていたようだが、数十分後には普通に業務をこなしていた。

「こういうバイト、前にした事あるんすか?」

「はい。なので、短期でも採ってもらえたのかも。」

どこで?とか、学校どこ?とか、もう少し話したかったが、お客さんがたくさんきてしまい話す暇がなくなってしまった。あがる時間も別だったから、これしか話せなかった。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生3・10−

自分には関係ないが、受験の時期が近づいてきている。2人とは会う頻度は減ったけど、まだ会っている。勉強の息抜きにでもなっているのだろうか。

11月末頃、クリスマスに会えないか誘われた。

「クリスマスって用事ある?」

「特にないよ。」

「じゃあさ、遊ばない?カナコは彼氏と会うみたいだしさ。勉強してるのも寂しいし。」

「勉強は大丈夫なの?」

「その日ぐらい大丈夫!」

「ならいいよ!」

「せっかくだし、プレゼント交換しようよ!あまり高くないように1,000円以内で!」

「いいね!何にするか考えるのも楽しそう。」

クリスマスに誰かといるのは初めてだ。しばらく先の事だが、今からとても楽しみだ。直前にもし、自分はともかく、ミカちゃんに彼氏ができたら流れるなと思ったが多分大丈夫だろう。





クリスマス当日。2人で少し買い物をしてからミカちゃんの家に行く。あの日から何度か行ってるが緊張するのは変わりない。

「今日、家族の人は?」

「今はお母さんがいるかな。でも、パートに行くはず。」

家に着いたら、ケーキを食べながら近況を話したり、プレゼント交換して、最後は久しぶりにしてから帰った。彼氏彼女ではないけど、お互いに都合がいい関係なんだろう。それっぽい日を過ごせた。

『初めてクリスマスっぽい事が出来た!ありがとう!』

『こっちも同じ!楽しかったよ!ありがとう!勉強頑張って!』



クリスマスが終わり、年が明けてからは連絡を取る頻度が激減した。勉強の邪魔をしても思い、こちらからメールを送る事もあまりしなかった。


プリムラ・ジュリアン ー高校3年生3・9ー

数日経って、カナコから着信があった。それには出れなかったから、こちらからかけ直した。

「なに?電話したでしょ?」

「忙しかったかな?ゴメンゴメン!」

「いや、大丈夫。んで?」

「ミカから遊んだよって聞いたから。どうだったかなぁとね。」

「居づらい店もあったけど、楽しかったよ。機会があればまた遊ぶかもね。」

「ふーん。そっか。・・・ねぇ、ミカと何かあった?」

「え、何にも。荷物を家まで持っていってあげたくらいだよ。」

「そう?ミカに聞いても、だんだん顔が赤くなって教えてくれなくなるんだよね。」

「どうしたのかねぇ?好かれちゃったかな?」

・・・わざとらしいか?

「手をだしたとか?」

「いや、何にもしてないよ。付き合ってもいないんだし。」

ミカちゃんが言ってないなら、何も言わないほうがいいだろう。

「何?なんか心配なの?」

「そうじゃないけど・・・。」

「ミカちゃんから聞いたのと、俺が言ったのと何か違う?」

「いや、合ってるかな。」

「じゃあいいじゃん。」

「そうだね。ゴメン、話はそれだけだった。」

「ん。じゃあ、切るぞ?」

「うん。じゃあね。」

ごまかせたかなぁ・・・。ミカちゃんは言ってないみたいだし、大丈夫だよな。


ミカちゃんとしちゃったし、付き合えるものなら付き合いたいと思う。でも、数ヶ月後には確実に遠距離になるから、そういうわけにもいかない。たまに遊ぶだけの普通の友達。それでいいだろう。